6月25日の日経新聞に載っていた、橋爪大三郎氏によるレヴィ=ストロースの「神話論理-生のものと火を通したもの」書評が面白かった。
南米インディアンの神話を中心に200近く取り上げた著作ということですが、神話と音楽との類似性が指摘されています。
似たようでいて違っている神話同士を、要素のいくつかが入れ替わっただけの、音楽の変奏曲のようなものだとみなす。
そして、これらの変奏曲全体の背後に無意識の思考の秩序(構造)が隠されていると考える。
レヴィ=ストロースはこのように神話を考えていたのだそうです。
文字のない太古の昔から人類が残した思考は、一見共通点がなかったり、支離滅裂な話に思えます。
しかし、無数にある神話をたどると、宇宙や人間の起源をめぐる共通のテーマ(主題)が浮かび上がってくる。
これが1つ主題(テーマとなるメロディ)を次々と展開する変奏曲に似ているということなのでしょう。
音楽は時間のなかで聴き取るしかないが、時間を超えた構造を本質とする。神話も同じであるという。
これは、かなり哲学的な文。どう読めばいいのか難しいのですが・・
音楽作品として表現されたものは、聴くという行為を通じて経験するためそれぞれの時間を持って存在しますが、数学のような時間を超えた規則にしたがって自分を形づくっているということなんでしょうか。
レヴィ=ストロースは「野生の思考」もまだよんでいなかったので、あわせてじっくり読んでみたいと思いました。
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