「異国から(Von fremden Landern und Menschen)」という曲は、
シューマン(Robart Alexander Schumann;1810~1856)の
1838年にまとめあげたピアノ曲集「子供の情景」の第1曲として収録されています。
3連符を基調とした、異国風というかメルヘンの世界のような雰囲気がある曲で、
ヴィスコンティ監督の映画「ルートヴィヒ」でも使われていた記憶があります。
楽譜の赤い矢印で示した冒頭の和声進行は、#や♭が突然増えたこと
からもわかるように多少飛躍のあるコード進行なので、遠い国という情緒
をかもし出すには効果的です。
しかし、実際に鍵盤でなぞってみるとわかるのですが、緑色の線で示した外声の
うごきや指の配置は、とても計算されていてコンパクトな動きになっています。
作品集『子供の情景』に関して、
シューマンがのちに結婚するクララに宛てた手紙の記述には、
「貴女は、私のことをときどき子供みたいなところがあるといいましたが、
その言葉が私の胸に残っていて、それがちょうど羽根をあたえられたかの
ように思えて、小さな曲を書きました」
とあります。
また、
「これは、子供のための曲ではなくて、むしろ年とった人
の回想であり、年とった人のためのものです」
という言葉も残されています。
これらの記録から考えるとピアノ曲集『子供の情景』は、
大人のなかにある「子供の世界への憧れ」もしくは「自分のなかの子供」
といった主題を表現した作品集、といえるのかもしれません。
↓MIDIファイル
http://www5f.biglobe.ne.jp/~hps/classicMIDI/kindrsen1.MID
↓MP3ファイル
http://add9.typepad.jp/net_sym/mp3/kindersen1.mp3
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