民家に閉じこもっている人間に、カモメの大群が襲撃する恐怖。
その羽ばたきや鳴き声は映画のなかで、とても不気味な効果を演出しているのですが、これらは、人工的に電子音を合成して作られた音響なのだそうです。
ヒッチコックいわく「とうとうつかまえたぞ」という鳥の内心のセリフを、加工したサウンドで表現しているのだとか。
この作品で用いられているその他の手法もあわせて整理します。
☆屋内と屋外との差を印象づけるために、
足音にかけるエコー処理に違いをほどこす。
☆無音場面に、はるかに聞こえるさざ波のような、
低い電子音を付加し、じっと息をひそめている緊張感を表現。
☆トラックのエンジン排気音を、悲鳴のように加工して、
無我夢中で逃走する際の心理と重ねる。
人工的な処理が、よりリアルな心理を引き出すために活用されているというわけです。
参考書籍:「ヒッチコック映画術」 ヒッチコック/トリュフォー 晶文社
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